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SOSEI TALK

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SOSEI TALK #13

総合政策科学研究科では、これまで何人もの学位修了生が大学等の研究機関に就職しています。しかし今日、研究者としてキャリアを歩むことは決して簡単ではありません。今回は本研究科の博士後期課程を修了し、現在は青森公立大学の専任教員として教鞭を取っておられる田中秀樹さんに、大学院時代のご経験、研究者として就職された経緯、また今後の展望や研究科の後輩へのメッセージなどをうかがいました。
出席者:藤本哲史 教授
出席者:田中秀樹さん(総合政策科学専攻 後期課程 企業政策コース修了生)
於:今出川校地烏丸キャンパス・志高館 中庭(2015年5月25日)

藤本 今回は、総合政策科学研究科の修了生のアカデミックなキャリア形成のひとつの例として、田中さんのお話しをうかがいたいと思います。
まず簡単に、これまでの田中さんの経歴を含めて自己紹介をお願いできますか。
田中 私は学部時代からずっと同志社におりまして、文学部教育学専攻(現:社会学部教育文化学科)を卒業後、総合政策科学研究科に進み、2006年春に博士課程に進み2011年3月まで5年間かけて博士研究をしました。博士研究の内容は、企業の人事管理や経営戦略と人事管理の関係性に関する研究、いわゆる戦略的人的資源管理というものを取り上げて博士論文を提出し、博士学位を取得しました。
藤本 文学部卒業なのですね。文学部から総合政策科学研究科に進もうと考えたことに何か経緯はあるのですか。
田中 私が卒業した教育学専攻は、現在、学部改組により社会学部の一専攻になっています。教育学でも教育文化に関することを勉強しており、社会学的な勉強もしていました。そこで、その当時のゼミの先生に大学院進学の相談をしたところ、文学研究科よりも、私の興味に合いつつ、もう少し広い視野でいろいろ勉強できるところとして、総合政策科学研究科を紹介していただきました。また学部時代のゼミの先輩が総合政策科学研究科を修了されていてお話を聞けたのもあり、「ここだったら私の研究関心を全部受け止めてくれるのではないだろうか」というのもありました。それで9月入試で受験・合格、進学を決めました。
藤本 その当時はどうだったのですか。修士課程までとりあえず進んで、その先のことは、もうあまり考えていなかったのか、あるいは、その先の博士課程も視野に入れた上での修士課程進学だったのですか。
田中 修士に入るまでは、修士課程を出たら就職するつもりでした。
藤本 それは意外です。民間企業への就職を考えていたのですか。
田中 なんとなくとではありますが、「一般企業の人事とか総務系などのスタッフ業務ができたらな」とイメージしていました。修士1年目の夏頃までは就職するつもりでしたが、修士の冬ぐらいから「論文を書き始めようか」「研究テーマをどうしようか」という話になったころから、「研究って面白いな」と思い始めて、そこから博士課程に行こうというのを決めました。
藤本 今の田中さんからすると、考えにくい過去のような気がするけれど。
田中 そうですね。先生に初めてお話ししますね。この手の話は、他の人にもあまり話したことがないです。
藤本 佐藤厚先生(現・法政大学キャリアデザイン学部教授)の指導生として修士研究を終えた後、博士課程在学中に先生が他大学に転任されました。私がこちらに転任してきた2008年4月、田中さんは博士課程2年目でしたが、そのタイミングで指導教員が私に変わりました。通常、標準修了年限は3年を想定していますから、2年目というと、もう半分ぐらい来ていますよね。
田中 そうですね。佐藤先生から、先生の後任として藤本先生がいらっしゃるという話をお聞きして、藤本先生の研究内容等々も自分でも調べたりしました。実は、まだその頃は、良いのか悪いのかわからないですけれども、博士研究が一旦ストップしかけていた時期だったのです。今の研究テーマである人的資源管理にテーマが変化していく過渡期で、勉強をし直している途中だったのです。そのため、良いのか悪いのかわからないですけれども、博士論文の明確なテーマが煮詰まっていなかった時期だったので、そこで指導してくださる先生が代わるというのは、プラスになるのではないかと思って、藤本先生のゼミに移りました。佐藤先生とは外部の研究プロジェクトでご一緒する機会もあったので、タイミングを見て御指導頂くこともできましたし、連絡も頻繁に取れる状況でもありましたので。
藤本 私に指導教員が変わった後、博士学位論文提出まで3年かかりましたね。学位研究の過程はどうでしたか。資格論文もあったし、もちろん博士論文の書き上げということもあったし、結構大変だったと思いますが。
田中 そうですね。3年目が終わって、4年目の4月から京都精華大学で、任期付の助手として働き始めたというのもあったので、ちょっと研究のスピードがダウンしましたね。時間的にはタイトで、きつかったというのは事実ですね。
藤本 京都精華大学で仕事をしながら、並行して学位論文を書いていたということですね。
田中 最後の2年間はそうでした。京都精華大学での仕事は任期付助手というポストで導入教育のサブプログラムで英語を担当していました。
藤本 学位を終える前に大学組織の中で仕事をするという経験はお勧めですか。
田中 良かったと思いますね。指導教官である藤本先生の前で、こういうことを言うのも気が引けるのですが、博士課程在籍時は自分が研究者になると思っていなかったので。だから、企業に所属するコンサルタントなりといった経営学をちゃんと勉強してきた人が滑り込めるポストが何かないかなと思っていたこともありました。
その迷っている過程で、京都精華大学で仕事をする機会に恵まれ、今まで学生あるいはTA(ティーチング・アシスタント)としてしか見られていなかった大学組織を多面的に見ることができるようになって、「アカデミックポストの仕事は僕に向いている仕事なのかもしれない」とか思っちゃっていまして。それが決定打になって、研究者、できれば大学教員になろうと考えるようになりました。そういった意味では、京都精華大学での仕事経験が私にとって良い転換点になりました。実際に周りを見ても、同じ世代の研究者になった若手の中では、「研究プロジェクトや非常勤講師でアカデミックな場での経験をしたことが、今の自分のキャリアにとって良かった」という人が結構いらっしゃいます。やはり人に教えること・大学組織の内側に入ることで学ぶこともたくさんあります。
藤本 任期を完全に満了する頃にほぼ学位を修了したのですか。
田中 任期を残して、学位論文を出して、同志社大学のITEC(技術・企業・国際競争力研究センター)に移籍した、というかたちですね。
藤本 博士学位修了のころ、就職はどのように考えていたのですか。
田中 論文を出そうと決めた時期は、まだ京都精華大学の任期がありました。僕は2年目の冬に京都精華大学を辞めたのですが、1年目の冬には、「来年博士論文を出そう」と決めていました。論文を出した後でも、任期はあるのでポストもあるという状況でしたので、博論を出してから他のアカデミックポストを探せたらいいなと思っていたところ、藤本先生はじめITECの先生から「ITECの特別研究員はどうか」という提示を頂いたので、前任校の任期満了を待たずに、同志社に移りました。そこで、交換条件じゃないですけど、博士論文をきっちり出して同志社に、という形になり、正式に博論のゴール時期が決まりました。
藤本 ポストドクターがITEC側の条件ですからね。
田中 そうですね。タイミングがすごくよかったんだろうなと思います。
藤本 田中さんは学振(日本学術振興会)PDに応募していたのですか。学振PDの話も少し聞きたいのですが、どうでしたか。難しいと思いましたか。
田中 うーん。実際採用されたことがないので、「どこがどう難しかったか」はわかりかねますが、今読み返すと、採用されなかった理由はなんとなく分かるようになってきました。具体的には、業績の数もですが、研究計画書がクリアじゃない、といった点などです。採用されるかどうかは別にして、学振PD申請は評価結果開示において「自分が応募者の中でどれぐらいのランクに位置付けられる(位置づけられていた)のか」ということがわかります。それらを参考にしながら「どこが駄目だったのだろうか」と考えました。その後、学振PDには応募しなかったのですが、科研費申請の際には、その経験がすごく役立ちました。実際に科研費は獲得できました。
藤本 申請書としては、ほとんど変わらないものね。
田中 そうですね。申請書の内容はそれほど変わらないので、今でもあの経験は役立っていますね。
藤本 DCもPDも狭き門だけど、今はかなり自分も考え方を以前と変えていて、駄目でもいいから、自分の指導生にはDCとPDには応募してもらいたいと考えているんです。今もDC2に申請を終えたばかりの指導生がいます。何か宝くじを買うみたいで、当たったらいいな程度に思っていて。確かに田中さんがおっしゃったみたいに、DCやPDに応募することは申請書を書く練習になりますよね。
田中 そうですね。今思い返したら、すごくいい経験になりましたね、申請書を書くことは。
藤本哲史
藤本哲史
同志社大学大学院
総合政策科学研究科
教授
田中秀樹
田中秀樹
同志社大学大学院
総合政策科学研究科
後期課程 企業政策コース
修了生

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