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SOSEI TALK

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SOSEI TALK #3

第3回の「SOUSEI TALK」はフランス出身で日本における公共性の形態を研究しているアンヌ・ゴノン教授が、同志社大学大学院総合政策科学研究科に新たに設立されたヒューマン・セキュリティ研究コースを専攻する菱岡佳世さん、皆川萌子さんお二人をお迎えして、研究テーマやこれからの課題について語り合いました。

ゴノン教授 総合政策科学研究科は設立されて10年が経ちました。そして今年、公共政策コースと企業政策コースの他に新しくヒューマン・セキュリティ研究コースが開設されました。研究コース名の「ヒューマン・セキュリティ」という言葉は元来、国連開発計画(UNDP)が1994年にその報告書のなかで用いたものです。その考え方の特徴は、人間の基本的な生活や生存の権利、尊厳などを脅かすあらゆる問題に積極的に取り組み、それらの脅威や欠乏からの解放を目指す点にあります。このコースで初めて勉強されるあなた方お二人にお聞きしたいのですが、なぜ、ヒューマン・セキュリティという研究コースを選んで大学院に入られたのですか?
菱岡さん 学部時代にやり残しがあるということが大学院に入った理由ですが、ヒューマン・セキュリティ研究コースを選んだのは移民問題に関して興味があったからです。私は経済学で移民問題を研究していたのですが、経済の視点だけでは物足りないものがありました。そして経済だけではその背景にあるものが理解できないということを実感して、それだったら他にどういう視点があるかなと考えたのです。そういうときにヒューマン・セキュリティという分野に出会いました。今でもよく分からない部分があるのですが、何か得るものが大きいだろうと思って入りました。
皆川さん 学部時代は新聞学専攻で、メディアについて勉強していました。メディアの送り手をテーマに勉強し卒論もそのことを中心に書いたのですが、書いている上で新たな疑問が出てきました。そのままの専攻で大学院に上ることも考えたのですが、広い視野で問題について考えたかったので総合政策科学研究科に入ろうと思いました。ヒューマン・セキュリティ研究コースには社会学や哲学、経済学、政治学、心理学などいろんな分野の先生がいらっしゃいます。そういうところで勉強すれば、もっと様々な視点から問題への道が開けてくるのではないかと思い、選びました。
ゴノン教授 ゴノン教授4月から3か月が過ぎて、どう思われましたか?自分が期待していたこと、もしくは、今まで考えていなかったけれども興味が湧いてきた、研究したくなったというようなことがあれば、ぜひ聞かせてください。
菱岡さん 初めは、やはり経済の頭になっていたので、違う授業をとることに抵抗もありました。でも大学院に入り、皆川さんのようなこれまで他の専攻で勉強されてきた人と話してみると、大変刺激されます。哲学や社会学の授業を受けて、経済では見られない、見つけることのできない問題点があるということも、なんとなくですが分かってきたように感じます。そこをどう突き止めていくのかまでは、まだ至らないのですが、とりあえず、ある着眼点までは、いいヒントになっていると感じられるので、私にとってはいい成果だと思っています。
皆川さん 皆川さん正直に言うと授業などが忙しく、あまり自分のやっていることを振り返ったり、これからのことを考えたりする暇もなく、日々追われるように過ごしています(笑)。しかし、いろいろな学問分野の先生につくことによって、今まで勉強してきたことがメディアという分野の中でもほんの一部のことだったということが改めて実感できました。根本的な理論など身についていないという実感があり、すごく焦りや危機感を感じつつ頑張っています。
ゴノン教授 そんな中で、「ヒューマン・セキュリティ」という観点はどうでしょうか?今まで、春学期に勉強したことと「ヒューマン・セキュリティ」の関係は現れていますか? あるいは自分の研究したいテーマと「ヒューマン・セキュリティ」との関係は本当に考えられるのでしょうか?
菱岡さん 先ほども話しましたが、私は特に移民問題に関心があるのですが、移民の権利にばかり重点をおいてしまうのはどうかと考えます。元の住民たちの色合い、というのでしょうか、移民の権利に注目するが故に、今度は住民の意見を取り入れられなかったりすることがあるのではないでしょうか。やはり理想と理想のぶつかり合いといいますか、理想は本当に人に言えるのか、というところも最近は考えています。
ゴノン教授 移民した人の観点だけで、その問題を考えることは不十分だと思われたのですか?
菱岡さん 菱岡さんそうですね。今まではそうだったのですが、いざ自分の隣にコミュニティができてしまったときにどうなるのだろうと感じました。そういうところから、移民の立場だけではだめなのではないか、という風に考えるようになりました。受け入れる立場のことも考えなければいけない。ひとつの視点だけではなく総合的・学際的な視点に立つことが、ヒューマン・セキュリティの研究では求められているのでは、と感じます。
皆川さん 「ヒューマン・セキュリティ」を人間の安心・安全と訳した場合、メディアはすごく大きな影響をもっていて、受け手に不安を及ぼしていると考えます。発信する側は流しているに過ぎないのですが、その方法などは疑問です。国家や企業といった権力の側が、様々な意味で私たちに不安を掻き立ており、このことにメディアも大きく加担しています。そして、権力の側はメディアを巧く利用していると思います。しかし受け手は巧く利用できているのか、というと決してそうではない。逆にメディアに振り回され、よけいに不安を掻き立てられているという側面があると思います。そういった意味でも、「ヒューマン・セキュリティ」とメディアの問題とは、強いつながりがあると思っています。
アンヌ・ゴノン
アンヌ・ゴノン
同志社大学大学院総合政策科学研究科教授
菱岡佳世
同志社大学大学院総合政策科学研究科 ヒューマン・セキュリティ研究コース
皆川萌子
同志社大学大学院総合政策科学研究科 ヒューマン・セキュリティ研究コース

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