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SOSEI TALK

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田中
客員教授
あなたは社会人だけど、総合政策科学研究科には学部からそのまま来た学生が半分いますよね。年齢も30代、40代の学生もいるし70歳を少し超えた人もいます。当然のように、意見も物の見方も全然違うでしょう。そうしたなかでは、学部からそのまま来た人たちは非常に苦労しているでしょう?
西川さん はい。社会の経験をされてないぶん苦労されているようです。もしかしたら、一度社会に出れば、そこで何かを感じ、もう一回勉強したいと思うんじゃないですか。
田中
客員教授
田中客員教授重ねて言いますが、研究というのは、教えてもらおうと言う姿勢ではダメなんですよ。「こういう点でこう思ってるけど、どうですか?」って、それに対する意見が欲しいというのであれば、いくらでも言います。でも「これどう勉強したらいいんですか?」って言われたら、アドバイスはないですよ。「あなたは、何のためにここに来たの?」としか言えない。全員がそうじゃないんだけども、私が望む形での勉強を訓練されてこなかった人って、やっぱりいるんです。敢えて言えば、学卒でそのまま来た人達はその点で大変苦労しているんですね。でもそれにも関わらず、学卒者を社会経験者と同様に扱い、刺激を与え続けるのは、やはり世の中に出たらそれでは通用しないからなんです。修士取ったのにこんなことしか勉強してないの? 自分の勉強したこと以外は何もしらないの? 世の中にいる方そんなに甘く見ているの? と言われちゃう。学部新卒がそのまま院に入学するならば、何のために二年間勉強していくのかという明確な目的と覚悟がないと、社会経験者に追いつけない。社会に出て仕事で揉まれた人には、学卒者よりずっと物の見方の広がりとか深みがありますから。
西川さん そのことは凄く実感しております。もし自分が学卒で入学したら、絶対に行き詰っていたろうなって。
田中
客員教授
修士ということで世の中に打って出よう、社会的な活動をしようというのであれば、それだけの勉強をしないといけない。そうであれば授業に出てただ話を聞いているだけじゃなくて、自分の興味あることをいかに関連づけながら、いかに広めていくか、深めていくかっていう姿勢が必要なんです。
西川さん 西川さん先生の授業は、テーマがそこだけで終わらず、世界や社会との関連まで繋がるんですよね。だから「こういうふうになったのは、こういうことがあったからなのか」って、気づかされることがすごく多い。理論説明は少ないけど、社会に出たら何が一番大事かっていう実践的なことを学んでいる気がします。
田中
客員教授
理論しているのは、一番楽だもの(苦笑)。理論説明というのは教科書を解釈してわかりやすいように説明したらいいんだから。でもそれでは非常に時間がもったいない。だって一単位十二時間か十三時間しかないわけだから。それに関連することをもっと広め、深めないと。私には、社会で三十五年働いた経験があり、それも調査企画部門が主な仕事だったわけです。その企業での調査というのは浅く広くという感じで、例えば朝、新聞を読んでいて気になる記事を見つけたら、ここと、ここと、ここは関係するから、こういう人たちにこういうレポートを出さないといけないなと閃くんです。会社に行くと部下たちにこういう観点でこのテーマをまとめて、用意してくれと頼み、朝九時半にはそれがボードに出され、世の中はこういうことになっていますよと報告するわけ。それは国際的なことも、企業経営のことも含め、社会全般の事についても常にアンテナ張ってないとできないわけ。
西川さん 絶対できませんね。
田中
客員教授
田中英俊教授その経験を踏まえて、私が大学院で教えられることというのは、例えば規制緩和をどうするかとか、社会システムがどう変わるか、郵貯や道路公団が今どういう風に民営化されるか、あるいは構造改革とか教育改革とか、実はすべて繋がっていることを理解してもらう。地方分権もそうだし企業経営の革新化、または選択、集中をどうするか、全部一体で繋がっているといことなんだと。我々は、ひとつの社会の中で経済活動をして、社会活動して生きていくわけだから、それを別々に切ったら世の中繋がらない。 よく大学の先生が甘えていると言われるのは、自分の好きなことだけを深く深くやっていて、社会とあまり係わり合いをもたないからなんですよ。それがそのまま大学に対する批判になっているわけで。そういう研究者を育てていくことも大事だけども、多くの学生は社会にでて将来働いていこうとしているのだから、そのニーズにも応えなきゃいけない。とくに理工系というのは博士で社会に出ても、まだ使えるものにならないと言われてる。それはなぜかっていったら、企業が要求する水準と大学が与えようとしている水準があっていないから。社会のニーズ、マーケットの要求を見ないでいくらサービス提供したってダメなんですね。企業だったら潰れちゃうわけだから。
西川さん 確かにマーケットを理解してないとだめです。私が入学して、興味を引かれた授業の先生方はいずれも社会経験を積んだ、元トップの方々でした。大学の教授をずっとやってこられた先生方も、素晴らしい見識をお持ちだと思います。しかし、会社人として巣立つ学生には、やはり社会経験を積まれ、情熱を持った先生に導いてもらうことも有意義かと思います。