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中田 喜文

現代日本の課題とTIM(技術・革新的経営)専攻

今、我々は3つの課題に直面している。1つは、高齢化する日本社会に、安心して暮らしていける社会・経済基盤を構築することである。また、国家間で人、モノ、情報そして富の移動が、加速度的に早まる今、日本が、世界の平和と成長の果実の共有化にどのように貢献するか、大きな国際課題である。国民多数の不安の中、阿部内閣が推進する安保法制の再解釈は、まさにこの国際課題に対する阿部内閣の解答である。さらには、地球的課題への対応も急がれる。温暖化による自然環境の変化、人口増大や経済活動の活発化による河川や海洋の水質汚濁、さらには大気汚染等の環境劣化を転換し、地球環境の改善に貢献することは、人類の意味を問う課題である。これら、日本、世界そして地球的課題に対し、我々大学人、そしてTIM専攻はどのような貢献ができるのだろう。

TIM(技術・革新的経営)専攻は、後期課程が2004年に設置され、現在の一貫制博士課程への転換を、2009年に行った。我々は、上述した現代的課題に対し、専攻での教育が以下の2点で貢献できることを確信する。


  1. 日進月歩する科学技術の成果を、これら課題の解決に如何に活用できるかを提案することができれば、上記課題解決に大きく貢献できる。TIM専攻の目指す教育は、この科学技術の進歩を人類的課題解決策に転換できる人材を養成することである。

  2. また、上記課題の解決は、そのためのリソースである、人、組織、そして科学技術を、如何にマネジメントできるかに大きく依存する。既存のマネジメント哲学や手法にとらわれることなく、大きな目標に向けて、最適なマネジメントを探求する独創性と革新力が必要である。TIM教育のもう一つの目標は、このようなマネジメントの革新を構想し、実行できる人材の養成である。

このように崇高な教育目標を設定した2004年の開設から10年、2009年の一貫制博士課程転換からも設置期間の5年をすでに終え、当初目標がどこまで達成できたかを検証すべき時期を今迎えている。教育プログラムの1つの評価基準は、プログラムが想定した学生をどれだけ迎え入れることが出来たかである。量的基準で言えば、当初博士課程後期では5名、一貫制博士課程移行後は、10名の入学定員を設定したが、残念ながらその定員は、現在100%充足できていない。しかし、受け入れ学生の質的側面を表す学生構成については、日本人と留学生の人数バランス、また高い社会人比率、とりわけ首都圏を含む遠隔地からの通学生比率の高さ等は、この専攻しか提供できない社会が求める教育を提供出来ている1つの証左と言える。プログラムの検証は、これら2点に留まるものではない。設立時に構想した、海外大学院との連携プログラムの提供や内外の研究機関や行政組織をフィールドとする教育研究プログラムの展開等の未実現項目の再評価も必要である。そして最終的には、TIMの特徴と自負してきた文理融合性、学際性、国際性の3つの特性が、その教育効果を発揮出来ているかを検証し、その結果を将来的な改善に生かしていきたいと思っている。

最後に、総合政策科学研究科について思うことを述べてこのエッセーを終えたい。総合政策科学研究科は、1995年の創設から数え、今年は20年の節目である。創設者大谷総長の思い入れもあり、社会人、とりわけ京阪神を中心に地域行政組織のコア人材に対する高度専門教育の提供が、総合政策科学研究科の一つの眼目であった。また、学内の多様な人材が結集し、同志社初の研究科横断的研究科として、学際的教育が可能な体制と実質が存在していた。その後20年でその形と内実は確実に変質し、今日に至っているi。今、改めて創設の趣旨と姿を思うと、現在の環境と直面する課題の前で、その価値は輝きを増している。20年の来し方を再評価し、続く20年のさらなる飛躍の糧としなければならない。


i 例えば、初期(1999-2001年)前期課程入学者に占める社会人推薦枠者は、順に50,35,32名であった。直近(2013-2015年)では、22,12,16人と半減以下まで低下している。