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アジア・フェローシップ 総合政策科学研究教授 川浦昭彦

2006年5月に広島で開催されたアジア・フェローシップの会議に参加した。アジア・フェローシップ(英語名:Asian Public Intellectuals (API) Fellowship Program)は、インドネシア・タイ・マレーシア・フィリピンの東南アジア4ヶ国に日本を加えた5ヶ国で行われる調査研究・芸術活動・人的ネットワーク作りなどの活動に対して1年間を上限として支援するプログラムである。曾野綾子前会長のもとで日本財団が資金を提供して創設されたプログラムであり、2001年度に派遣が開始され、現在は第5期のフェローの派遣中である。

私はこのプログラムを利用して2003年10月からタイ・バンコクのチュラロンコン大学経済学部に客員研究員として1年間在籍し、1990年代後半に発生したアジア通貨危機がその後のタイ政府の長期開発戦略に与えた影響の調査を行った。フェローシップからは資金的援助のみならず、資料収集・聞き取り調査の約束の取り付けといった研究活動への支援をプログラムのタイ国パートナー機関であるチュラロンコン大学アジア研究所内フェローシップ事務局より受け、滞在中は大変に恵まれた研究環境を享受することができた。

このフェローシップの特徴は、その支援対象となる活動の幅広さとフェロー間の長期的な交流にある。大学の研究者による学術的な研究活動を支援する財団やフェローシップは数多くある。しかし、アジア・フェローシップの支援対象は、それに加えて芸術家による異文化環境での創作活動・地元芸術家とのコラボレーション、またNGO/NPO活動家による現地調査・国際的組織連携の枠組み作り、ジャーナリストによる調査報道のための取材活動と言った多様な領域をも含んでいる。

アジア・フェローシップの風景実際、5月の広島での会議に集まった過去5年間の日本人フェロー17名の専門・職業も、マスコミを舞台に活躍されているマンガの評論家、エイズ蔓延防止を専門とされる医師、文化人類学者、人権教育の専門家、作曲家・陶芸家、大学院生等と実に様々であった。今回の会議は日本出身フェローによるものであったが、同様の会議は東南アジア4ヶ国でも個別に行われている。さらに5ヶ国すべてのフェローによる(派遣)期単位での集まりも毎年行われている。したがって、このフェローシップに大学院生として参加した場合には、フェローシップ期間中に学位論文のために有益な海外経験を得ることができるだけでなく、期間終了後にも普段はあまり接する機会の無い分野の日本国内外の他フェローとの交流により、思いがけない発想や物の見方に触れることで良い刺激を受け続けることができるだろう。

現在は第6期のフェローの募集中である。日本からは4~6名が選抜され東南アジア4ヶ国のうち各自が希望する場所で自らが提案した活動を行うことができる。日本とアジアの関係、またアジア各国が抱えている問題に関心を寄せている大学院生の方は応募してみてはどうだろうか。日本でのフェローシップ事務局(http://www.cseas.kyoto-u.ac.jp/api/)は京都大学東南アジア研究所内にある。